【洋楽アルバム】The Velvet Underground 「The Velvet Underground & Nico」レビュー
さて今回は、The Velvet Undergroundの「The Velvet Underground & Nico」をレビューします。
The Velvet Undergroundはルー・リード率いるアメリカのロックバンドです。
60年代から活動していますが、今聴いても古臭いということはありません。
もちろん当時の録音の音が良くない等はありますが、曲自体は50年経った今でも色褪せていないですね!
The Velvet Underground 「The Velvet Underground & Nico」レビュー
The Velvet Underground の「The Velvet Underground & Nico」は、1967年発売の1stアルバムです。
誰もが知っていると言っても過言ではない、名盤中の名盤。
どこから聴いても間違いのない、名曲揃いのアルバムです。
では全曲レビューします。
1.Sunday Morning
言わずと知れた超名曲。とにかく優しいメロディ。
イントロのオルゴールのような音が始まった瞬間から一気に引き込まれます。
ルー・リードの声も優しく穏やかなメロディに合わせるように、美しく歌いあげています。
でも歌詞の内容はダークで影があります。それを知って聴くと、ただのポップなメロディではないことに気づくのが不思議。
2.I’m Waiting For The Man
続いてもルー・リードの代表曲。
ひたすらにかっこいいとしか言いようがない、ロックンロールナンバー。
リズムも演奏もメロディもなにも難しいことはありません。
ギターとピアノのコード弾きに吐き捨てるようなメロディ。
本当にただそれだけなんですが、これだけ心を動かされるのは、ルー・リードの才能ですかね。
3.Famme Fatale
ボサノヴァ風のおしゃれでメロディアスなポップナンバー。ボーカルはニコです。
サビのメロディのバックから聴こえてくる、コーラスワークも華を添える感じでいいですね。
キレイな中にももの悲しさを感じる、グッドソング。
4.Venus In Furs
サイケでシタールが似合いそうな音階。ルー・リードの気だるいボーカルと、ややもすれば宗教っぽさも感じる演奏が非常にマッチします。
感動する、とか泣ける、とかはありませんが、ジャンル不明ながらもカッコいい、ロックナンバー。
5.Run Run Run
軽快なロックンロールナンバー。
「Run Run Run〜」の部分のボーカルはコーラスも重なり、バックのぶっきらぼうな演奏と絡んで非常に心地よいです。
ロックンロールの熱さにつられ、普段は気だるいルー・リードの感情が見え隠れする1曲。
6.All Tomorrow’s Parties
ゆったり壮大なバラード。ボーカルはニコですね。
展開に目新しさはなく、ずっと同じメロディが淡々と続きます。
なんだか退屈に感じそうですが、メロディや演奏が秀逸で飽きが来ないので、最後までじっくり聴くことができます。
7.Heroin
クリーントーンのギターの静かなコード弾きから始まるメロディアスナンバー。
途中からだんだんテンポが上がり、ルー・リードのボーカルも吐き捨てるようなラップ調に。これが非常にカッコいい。
テンポが上がっているときは、ドラムとあっているのかどうかもわからない、ルー・リードが勝手に暴走しだしたかのような違和感が逆に気持ちいい。
ただのロックバンドではない部分を感じさせる、不思議な1曲。
8.There She Goes Again
リバーブのかかったギターのイントロが心地よい、珍しく海辺で聴きたくなるような明るめのナンバー。
メロディもしっかりと楽しめ、ルー・リードお得意の吐き捨てるような歌い方とよく合います。
間奏部分のキメもバンド感があっていい感じ。
9.I’ll Be Your Mirror
こちらもニコがリードボーカルをとる、メロディアスなバラード。
6曲目の「All Tomorrow’s Parties」は暗めの影を感じるメロディでしたが、こちらはかなりポップなメロディ。
ギターのフレーズも、そのポップさを際立たせます。
ラストの「I’ll Be Your Mirror〜」の部分は張りあげた声とコーラスの絡みがたまりません。
10.The Black Angel’s Death Song
歌というより、語りに近いルー・リードのボーカル。
バックはギターとバイオリンですかね?リズムはなく、半ばノイズに近い演奏です。
かなり実験的な曲と言えると思いますが、ただ単にマニアックなだけではなく、ちゃんと聴きやすさが共存しているんですよね。
そこがセンスなのだと思います。
11.European Son
ウォーキングベースとギターのカッティングがスピード感を醸し出すロックナンバー。
ルー・リードのボーカルはメロディはなく、歌詞を吐き捨てるように読み上げるスタイル。
途中からガラスの割れる音に、歪んだギターが加わり、完全にカオスな展開へ。
その後もノイズ混じりの演奏が延々と続きます。これがポストロックのルーツと言えるんじゃないでしょうか。
混沌とした空気のまま、アルバムは終了。
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レビュー総括と感想
誰もが認めざるをえない、歴史的名盤。
ポップさ全開な曲から、カオスなノイズまで幅広く楽しめる1枚です。
曲によって男性ボーカル(ルー・リード)と女性ボーカル(ニコ)の曲があるのもアルバムの多彩さに貢献していますね。
現代のポストロックなんかのルーツになっている部分もあるので、そういう音楽が好きな人が聴くとかなりグッとくるのではないでしょうか。50年前のアルバムなのに、むしろ新しく感じると思います。
あとはやはりルー・リードの圧倒的な存在感ですね。歌が上手いとか、そういう世界ではありません。
メロディアスな曲もそうでない曲も、不快さや聴きにくさが一切なく、スッと耳に入ってくるんですよね。
この感覚はなかなか出会えるものではないです!
The Velvet Undergroundの「The Velvet Underground & Nico」、手放しでおすすめできる1枚です。